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【感想】 米澤穂信 『ボトルネック』 【考察】

 相変わらず、作者は主人公に厳しい。その上、とてもハッピーエンドとはいえない。しかし主人公が幸か不幸かはさして重要ではない。重要なのは、主人公の末路ではなく、読者が何を感じ取ったか、である。

 

 タイトルになっている「ボトルネック」は何だったのか。

 主人公は自分自身がボトルネックであり、排除されなくてはならない、と考えている。しかし、私はそうは思わない。それはイチョウの木のエピソードが根拠だ。

 イチョウの木は切られたことによって交通渋滞が緩和された。よってイチョウの木はボトルネックだったと考えることができるのかもしれない。しかしボトルのネックは注ぎ口として機能しているように、イチョウの木は交通量を減らす機能を果たしていた。主人公はこのことにに気づくことができなっかった。なぜか?

 主人公には想像力が欠けていた。どうしようもないと受け入れることで、生きることを捨て置きにしてきた。それが取り返しのないことになった。

 

 想像力をもってすれば、「今日できなかったことも、明日にはわからない。」

 これがこの作品の「希望」だ。