喫茶二次元

アニメ、漫画、小説作品の語り場

【感想】 「スラムドッグ・ミリオネア」

スラム育ちから億万長者へのサクセスストーリー、かとおもいきや、貧困と裏社会の狭間を生きる主人公たちを描いている。あくまで愛を求める弟と、逞しくも打算的に生きる兄、そして引き離されていく弟の想い人の三人の生き様が印象的だ。

【感想】 米澤穂信 『ボトルネック』 【考察】

 相変わらず、作者は主人公に厳しい。その上、とてもハッピーエンドとはいえない。しかし主人公が幸か不幸かはさして重要ではない。重要なのは、主人公の末路ではなく、読者が何を感じ取ったか、である。

 

 タイトルになっている「ボトルネック」は何だったのか。

 主人公は自分自身がボトルネックであり、排除されなくてはならない、と考えている。しかし、私はそうは思わない。それはイチョウの木のエピソードが根拠だ。

 イチョウの木は切られたことによって交通渋滞が緩和された。よってイチョウの木はボトルネックだったと考えることができるのかもしれない。しかしボトルのネックは注ぎ口として機能しているように、イチョウの木は交通量を減らす機能を果たしていた。主人公はこのことにに気づくことができなっかった。なぜか?

 主人公には想像力が欠けていた。どうしようもないと受け入れることで、生きることを捨て置きにしてきた。それが取り返しのないことになった。

 

 想像力をもってすれば、「今日できなかったことも、明日にはわからない。」

 これがこの作品の「希望」だ。

 

【感想】「さよなら妖精」

無知を知ることは智を愛すること。

今まで知っていると思っていたことが見当違いであったり、あるいは知らないということにすら気づかないということがある。知らないほうが幸せなこともあるだろう。

 

物語は劇的な終末を迎える。主人公は無知を知り、現実を直視せざるを得なくなる。厳しい現実のまま物語は幕を閉じる。理不尽ではないかとさえ思った。しかし主人公がその後どうなっていくかは、まさに読者が本書で何を感じたかによって決まるのではないだろうか。

 

私が彼ならば、哲学を続ける。

【感想】響け!ユーフォニアム

王道の部活もの。

見かけによらず、熱い!

弱小の部活が強豪へとのし上がる話で、強い組織はいかにして生まれるかがわかる。高みを目指す指導者と生徒に心が熱くなる!

その場にいるかのような臨場感溢れる描写にも注目したい。

 

 

【感想】「坂道のアポロン」

 この作品は、よくある「部活もの」ではない。ジャズをする人たちの「群像劇」と言ったほうがよいだろう。つまりジャズに興味がなくても十分楽しめる。

 主人公とその友人はジャズが接点となっているわけだが、そのデコボコした関係が面白い。フィクションの世界でなくても、人と人との関係はデコボコしていたほうが難しく、そして面白い。そんなことを思い出させてくれた作品であった。

 そして何より、ジャズに夢中な主人公たちの姿に、感化される。

 

 青春とは何ぞや?